養殖の常識！？
| 養殖の2種類の方法 |
スーパーや百貨店などでよく目にする『養殖』ですが、皆さんは養殖についてどのくらいご存知でしょうか？
まぐろの養殖には蓄養と完全養殖の2種類の方法があります。
一般的に養殖マグロと表示されているほとんどが、蓄養で養殖されているものです。
蓄養とは、天然の稚魚を漁獲し、イケスの中でエサを与えて育てられたことを言います。なぜ、養殖と蓄養と同じ表記なのかというと、日本農林規格法（JAS法）では、給餌した水産物は全て養殖と義務付けられているため、養殖マグロも蓄養マグロも同じ表記になっているようです。
完全養殖とは？
完全養殖とは、養殖場で飼育した親魚から受精卵を採り、プランクトンを餌に人工的にふ化させ、稚魚になると海上のイケスの中で成魚まで育て、さらに一部の親魚から再び卵を人工ふ化させるというサイクルで行う養殖方法を言います。
マグロの稚魚は繊細で皮膚が弱く、光や音に過敏ですぐにパニックに陥り、衝突死や共食いするなど育つまでがとても難しいため、一般に普及するまでにはもう少し時間がかかりそうです。
| 養殖・天然生・天然冷凍の違い |
養殖本マグロ（蓄養）と天然マグロですが、季節や獲れた場所・個体によって色目や脂の乗りは様々ですので優劣をつけがたいですが、養殖(蓄養）と天然を比べた時に一つ言えることは脂のサシの入り方が違います。
養殖はトロの部分がギラギラと脂光りしていてサシが粗いのに対し、天然は脂のサシが細かく入っているのが特徴です。
味の違いは？
【養殖】蓄養本まぐろ中トロ
脂質：強い脂（しつこい脂）
香り：脂臭い
コク：なし
食感：とろっとしている
【天然】生本まぐろ中トロ
脂質：上品な脂（口の中でとける）
香り：鼻から抜ける風味が豊か
コク：あり
食感：もっちり（弾力がある）
【天然】冷凍本まぐろ中トロ
脂質：上品な脂（口の中でとける）
香り：鼻から抜ける風味が豊か
コク：あり
食感：身が引き締まり、しっとり
『養殖』と『天然』どうやって見分ける？
百貨店やスーパーなどでのラベル表示の見分け方はご存知ですか？
ラベル表示の中に【養殖】と表記されているものが養殖マグロになります。
養殖の表示がないものは【天然物】と言うことになります。天然表示があるものは分かりやすいですが、お店によっては天然と表示されていなものもありますので参考にしてください。
【ラベル表示】
「養殖」＝養殖物
「天然」＝天然物
表示なし＝天然物
『解凍』ってどういう意味？
遠洋で漁獲されたマグロや養殖(蓄養)マグロを超低温の冷凍庫で瞬間凍結したマグロを解凍したということです。解凍の表記がなければ生マグロということになります。
生マグロと冷凍マグロ鮮度の違いについて詳しくはこちらから
…………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………
近年、マグロの資源量の問題や食嗜好の変化に伴い、養殖マグロが広がりをみせています。養殖は、貴重な資源を維持する為には重要な役割を担っていますが、天然マグロを扱う者として養殖物の味がマグロの味と思われてしまうことに懸念を抱きます。
天然物には旬があります。その時期にしか味わえない本物のおいしさを感じていただきたいです。